Jupyter Labの基本的な使い方と初期設定を徹底解説!
はじめに
本記事では化学研究者のPython活用における「相棒」ともいえるJupyter Labの基本的な使い方と初期設定を紹介します。
この記事を読み終えたときには、Jupyter Labでプログラムを作る準備が出来上がっています!
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基本的な使い方
新規ファイルの作り方
Jupyter Labの起動は過去記事でも紹介している通り、コマンドプロンプトを立ち上げて「jupyter lab」と入力すると、webブラウザで立ち上がります。
立ち上がると以下のような画面になりますが、新たなファイルを作るにはPythonのロゴマークのついたボタンを押すだけです。
もし、「Launcher」というタブが出ていない場合は、左上の+ボタンを押せば、タブが生成されます。
Codeモードの使い方
新規ファイルを作成すると下図のような「Untitled」というタブが生成されます。
画面の中のグレーでハイライトされた領域を「セル」と言い、この中にコードを記述していきます。
セルの中にカーソルがある状態でコードを記述し、Enterキーで通常の改行、Shift+Enterキーでセル内のプログラムを実行できます。実行結果はセルの下にすぐに表示されます。
このようにセル単位でプログラムを実行できるため、Jupyter Labはインタラクティブな開発が可能、つまり実行結果を逐次確認しながらプログラムを作っていくことができるのです。
これが、化学者のPython活用においては非常に使いやすい理由です。
Markdownモードの使い方
セルの記述モードはデフォルトでは「Code」、つまりPythonコードを書くためのモードになっています。
この記述モードを下図のように「Markdown」に変更するとメモ書きが可能です。
「Code」モードではPython文法のルールに従わない入力に対してはエラーを吐きますが、「Markdown」モードではどんな入力も受け入れます。
つまり、Wordのように扱えるということなので、実験結果の解析をしながら、解析結果に対する考察等を途中でメモしておきたいときに使用します。
見出しを作ることもできるので、一つのファイルで実験ノートのような使い方も可能です。
Tabキーによるコード補完機能
コードの記述を手助けする機能もJupyter Labには備わっています。
PCやスマートフォンにも備わっている補完機能です。文章を途中まで記述すると、その先の選択肢が出てくるやつです。
Jupyter Labでは入力の途中でTabキーを押すと、下図のように候補が表示されます。
下図左では「pr」まで入力してTabキーを押すと、「print」関数が候補として表示されました。
Pythonでは変数を自分で簡単に定義できますが、下図右では自分で定義した変数も補完機能の対象になっていることを示しています。
長いプログラムを書きだすと、変数の数も増え、似た名前の変数も増えてくるため重宝します。
便利な2画面表示
プログラム開発をやっていると2つのファイルを並べて見たほうが効率的なことが出てきます。
そんな時は下図のように、2つのファイルが開いている状態で、片方のタブをクリックして右のほうにドラックすると青く囲まれた領域が表示されます。
下図②のように領域が表示されたところでリリースすると、下図③のように横並びで表示できます。
元に戻したいときは、再びタブをクリックして、元の場所周辺にドラックしていくとタブのところに青く囲まれた領域が表示されるので、そこでリリースすると一画面に戻ります。
py拡張子ファイルで保存
Jupyter Labで作成するファイルは「ipynb」という拡張子で、Jupyter Lab上でのみ実行できます。
しかし、プログラムが完成するとそれをデスクトップに置いて、オフラインでも実行できるようにしたい場合がほとんどです。また、ほかの人に配布したいことも多いです。
そうした場合、「py」という拡張子のファイルに変換する必要がありますが、「File」→「Save and Export Notebook As」→「Executable Script」で作成できます。
pyファイルはpythonが入っているPCであれば、誰でもオフラインで実行できます。pythonが入っていないPCで実行する方法は別記事で解説します。
これだけはやっておきたい初期設定
ファイル保存先の変更
Jupyter Labで作成したファイルの保存先がデフォルトでは個人フォルダのディレクトリとなっています。かなり奥深くになっているため、これが結構不便なので初期ディレクトリを変更した方が使い勝手が良いです。
変更方法は下記リンクの通りにやればできるので、こちらを参照ください。おすすめの保存先はドキュメントフォルダです。
好みのデザインに変更
「Settings」→「Theme」で3種類のデザインから好きなものが選べます。デフォルトは「Light」モードです。
ダークモードは以下のような感じです。
ストレスフリーな開発環境のための設定
おすすめの設定を解説します。
「Settings」の「Autosave Documents」「Auto Close Brackets」「Enable Extension Manager」はチェックを入れてください。
Autosaveはその名の通り、Extension Managerは拡張機能を使用可能にするためのものです。拡張機能については別記事で解説します。
Auto Close Bracketsは、始めカッコを入力すると自動で終わりカッコが入力される機能です。コードはカッコだらけなので、必須設定です。
「View」の「Show Line Numbers」もチェックを入れてください。セル内に行数が表示されます。
プログラム実行時にエラーが検知されたとき、エラーメッセージ内で該当箇所を行数で教えてくれます。
長いコードになってくると該当個所をすぐに見つけられないので、行数を表示しておいたほうがスムーズです。
おわりに
プログラム開発の「相棒」であるJupyter Labの基礎を解説しました。Jupyter Labは直感的に操作しやすいものですので、本記事を参考にしながら自分でいろいろと触ってみて感覚を掴んでください。
別の記事でJupyter Labの拡張機能について解説しますので、そちらも参考にしてください!